事故でむち打ちに遭われた方へ

むち打ちも後遺障害です

むち打ちとは、自動車の追突や衝突、急停車などにより、首がまるで「むち」のようにしなるために起こる症状を総称したもので、頚椎捻挫(けいついねんざ)、頚部挫傷(けいぶざしょう)、外傷性頚部症候群(がいしょうせいけいぶしょうこうぐん)など、さまざまな診断名で呼ばれています。

事故に遭った本人がむち打ちのつらさを感じていても、第三者からは明らかな症状が見えないため「本当に痛いのか?」と詐病扱いされたり、「時間が経てば治るのでは」などと心ないことを言われることも多く、被害者ご自身も交通事故によるむち打ちだと主張しにくいと感じることがあるようです。

「交通事故との因果関係なし」と判断されないために

交通事故という非日常的な出来事に遭遇すると、興奮状態に陥り、事故直後は身体の痛みを感じないこともめずらしくありません。ところが、日数が経過してから痛みや違和感が生じることがあります。

交通事故でむち打ちなどの症状が現れた場合、保険会社から「交通事故との因果関係なし」と判断されないことが大切です。早い段階で弁護士に相談し、保険会社との交渉を弁護士に任せると、保険会社から因果関係を否定される可能性を低くすることができますし、その間、ご自身はけがの治療に専念できます。

なお、仕事が忙しいなどの理由で定期的に通院できなくなる人も要注意です。同様に、保険会社から「交通事故との因果関係なし」と判断される要因になってしまいます。

保険会社から保険金の支払い打ち止めを提示されたら

むち打ちも後遺障害のひとつですが、事故から3か月~6か月程度経過すると、保険会社から保険の打ち止めを提示されることがあります。納得のいかない提示額でありながら、流されるままに示談に応じてしまうことは避けたいもの。示談の後、提示額を覆すことは非常に難しいからです。

早めの段階から弁護士に相談することで、保険会社との交渉を優位に進められます。また、適切な「後遺障害等級認定」の手続きをとり、将来の治療費などの負担に備えて十分な賠償額を獲得することができる後遺障害等級12級、あるいは14級に該当する可能性があります。

むち打ちで後遺障害等級を獲得するためには

実務上、後遺障害等級12級は「障害の存在が医学的に証明できるもの」、14級は「障害の存在が医学的に説明可能なもの」または「医学的には証明できなくとも、自覚症状が単なる故意の誇張ではないと医学的に推定されるもの」という基準が採用されているといわれています。

自賠責限度額や後遺障害慰謝料、逸失利益といった金額は等級により異なります。事故直後から症状固定に至るまで、可能な限り多くの資料を揃え、等級獲得への準備をしておくことが重要です。
用意すべき資料は、客観的な画像所見であるMRIやCT画像などさまざまですが、弁護士から具体的にご案内します。

後遺障害等級非該当と判断されやすいケース

次の項目に該当するかどうか、チェックしてください。

1 治療期間が短い

2 通院しているが、1か月以上ブランクがあいてしまった

3 自覚症状が一貫しない

1)と2)は、保険会社に「痛くない」と判断される材料になってしまいます。3)は、いわゆる不定愁訴、または誇張とみなされる恐れがあります。
ただし、これらに該当する背景には、

  • 仕事が忙しくて通院の期間が空いてしまった。
  • 痛みなどの症状を、うまく医師に説明できなかった。
  • 保険会社から治療費を打ち切るといわれたため、仕方なく通院をやめた。

ということも考えられます。
そのような事情をぜひお聞かせください。弁護士が専門知識を元に、適切な後遺障害認定手続きをとるためのサポートをします。